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No.240 (2006/11/28)
NHKスペシャル気候大異変の内幕

 連載『気候シミュレーションとは何か』は、HP公開までにとりあえず私自身が納得できるまで中本教授と意見交換を行い内容を検討しながら進めていますので、多少公開のペースが遅いのですが気長にお付き合い下さい(また、中本教授の裁判も佳境に向かいつつあり、これも影響しています。)。
 これまでの所で最も興味深かったのは、本来気候予測の数値モデルは確率過程としてモデル化すべきものであるという点です。我々の持っている気象に関する観測値は、時空的に離散的なものであり、既に現象の直接的な物理的な情報ではなく気象を確率過程とした場合のサンプルに過ぎないのです。
 近年解像度が上がったと言ったところで所詮全球モデルの水平メッシュサイズは数10km〜数100kmオーダーという極めて粗いものに過ぎないのです。これだけをみても物理現象としての気象現象を再現するなどと言うのはほとんどお笑いです。
 便宜的に流体の物理的な表現である偏微分形式で表された非線形の運動方程式(Navier-Stokesの方程式)を基に気候モデルは作られています。
 まず第一の問題は、非線形な形で与えられた運動方程式の解を厳密に解くことは出来ないことです。そのため、非線形項には適当な数値を与えることで、近似的な線形方程式系を代数的に解くことによって近似解を求めるしか術は無いのです。この件に関して、かつて国立環境研究所の江守氏に疑問を呈したところ、彼はこう述べていました(本HP所収「二酸化炭素地球温暖化脅威説批判/§5気候予測数値実験)

- 気候モデルでは、非線形方程式を非線形のまま離散化して解いています。大気モデルでは、普通収束計算は行いません。海洋モデルでは収束計算を行うものもありますが、それほど数値的に難しいものではありません。全般的に言って、数値計算の技術的な問題が無いわけではないですが、モデルの難しさの源としては、パラメタ化の難しさの方がずっと大きな割合を占める、というのが私の認識です。

 この彼の『非線形方程式を非線形のまま離散化して解いています。』は全くの虚偽なのです。正しくは線形近似による線形方程式系を代数的に解いているに過ぎないのです。非線形問題の場合、線形近似に繰り返し計算を組み合わせて数値解を厳密解に収束させるという手法が使われます(例えばよく知られている収束計算の手法にはNewton-Raphson法があります)。
 非線形性の強い問題では収束計算を行わないことによる誤算蓄積によってとんでもない結論を得ることになります。Navier-Stokesの方程式の非線形項の影響は残念ながらそれほど小さくなく、収束計算を行わずに時間追跡の繰り返し計算を重ねれば重ねるほど現実とはかけ離れた結果になることは明らかなのです。私の実感としては、現在の日本周辺の気象予報の実用的な予測期間は1〜2日が限度だと考えます。
 大気中の気象現象をみれば、体感的に天候の急変や突発的な気象現象は日常茶飯事であり、大気運動の非線形性はきわめて強いと実感できますし、それどころか不連続線(例えば前線)や特異点(例えば低気圧)もごく普通に存在するのが現実の気象現象なのです。数値モデルではこれらを物理現象に沿った形で再現することは全く不可能です。
 数値モデルで気象を物理現象として長期間にわたって模倣することは不可能だとわかりました。数値モデルに何らかの意味があるとすれば、モデル計算の結果に確率過程として気象現象を表現出来ることが最低の条件になります。この場合重要なのは単に解(例えば温度)の平均値だけでなく、分散や歪度、尖度などの高次の統計量が気象観測の実測値をうまく模倣できない限り、確率モデルとして実際の気象や気候をうまく模倣できていることにはならないのです。中本教授の報告にあるとおり、残念ながら現在の数値モデルは高次の統計量を全く再現できないのです。

 さて、気候シミュレーションに関する今年最大の話題はそのインパクトの大きさから、掲題のNHKスペシャル『気候大異変』と言ってよいでしょう。
 番組では、冒頭に2004年3月にブラジルを襲った熱帯性と思われる低気圧カタリーナ(catarina)の発生を1年前に地球シミュレーターが予測していたことを以って、地球シミュレーターの正しさを誇示していました。後は2096年に巨大台風が日本を襲うだとか梅雨がどうなるなどと、まるで明日の天気予報のような調子で語られました。
 ちょっと待ってください。1週間先の天気予報を『信じる』人などほとんどいない現状の気象予報なのに、1年先や100年先の局地気象が予測できるはずが無いのです。こんなことは当たり前です。一体どうしてこれほどまでに人は権威に騙され易いのか、私には理解できません。
 本当に1年前に局地気象を予測できるのなら、これを防災情報として最大限活用すべきでしょう、皆さん?気候シミュレーションに関わっている研究者は口が裂けてもそんなことは絶対言いません、なぜか?それは1年先の予想など不可能だと彼ら自身が最もよく知っているからです。
 それにもかかわらず、この番組を仕組んだNHKとこれに協力したと言われる国家機関の研究者たちの世論誘導は極めて悪質だと言わねばなりません。たとえ、番組が採用した気候シミュレーション結果が実際の計算結果であったとしても、です。

 しかしどうもそれだけではないようなのです。猫田白重氏が詳細に情報を収集した結果、この番組の中にはどうもデータの捏造ないし改ざんと思われる部分が数多く含まれているようなのです。詳細は氏のHPをぜひご覧下さい。


気象数値モデルはコンピューター・ゲーム


No.239 (2006/11/27)
マスコミの無能と詐欺師研究者集団

 風力発電についての技術評価は既に、このHPのレポート『石油代替エネルギー供給技術の有効性の検討』あるいは拙著『温暖化は憂うべきことだろうか』等で詳細に検討してきたように、石油消費を削減する可能性はまったくありません。また、海上風力発電〜水素製造プラント〜燃料電池システムにいたっては、石油をどぶに捨てるようなものであることは詳細な検討をする必要も無いほど明らかなものです。
 相変わらず無能極まりない新聞報道・マスコミの諸君は、環境問題についての玄関ネタを有難がって全く検討を行わずに垂れ流し続けています。最新版を紹介しておきます。これは大分合同新聞2006年11月27日夕刊の記事です。





 この記事の唯一の意味は、『九州大学・京都大学・宮崎大学の研究者は、詐欺師あるいは税金に群がる守銭奴以外の何者でもない』という事が明白になったと言う一点のみです(有効性の目標設定として『原発よりも低コスト』を目指すという欺瞞的な表現を用いる点等、まさに詐欺師の詐欺師たる所以です!)


No.238 (2006/11/09)
大入島埋立事業の継続を答申

 既にこのHPでも報告してきました様に、大分県佐伯市の大入島の埋立工事は、地元住民の強い反対運動によって2005年1月以来工事が中断しています。その後表面上の動きは長らく鳴りをひそめていましたが、11月6日に大分県事業評価監視委員会(秋月睦男委員長)が開催され、県側の一方的な説明だけを材料に、地元住民の意見を無視した大入島の埋立工事を継続する答申がまとめられました(新聞報道参照)。

 

 この埋立事業は、本質的には豊かな大入島の沿岸部を産業廃棄物捨て場にするものです。果たして東九州自動車道あるいはそのアクセス道や佐伯港の浚渫というものが行うべき公共事業であるかどうかも大きな問題ですが、単に経済合理性だけで判断すべき問題ではありません。



 大分県事業評価監視委員会という組織がどのようなものかは知りませんが、少なくとも環境問題には全く無頓着な、大分県のお手盛りの委員会であることだけは疑いようがないようです。


No.237 (2006/11/07)
進歩不要!

 長らくこのHPの編集作業にはdB-SOFT製の『ホタルHOTALL Ver.6』というソフトウェアを使ってきました。別に何の不都合もなかったのですが、dB-SOFTというメーカーが消滅してしまったために、今後トラブルが発生しても全くサポートがないという状況になり、一抹の不安(例えば、HTMLのバージョン変更などによる不具合など)を覚えていました。
 そんなわけで、仕方なくソフトウェアを新しく導入しました。多分一番売れ筋だと思って選んだI*M社のHPビルダー10です。私の管理するHP、つまり「環境問題を考える」は、基本的に文章と添付図面だけが表現できれば良いわけで、凝った動きのある表現などまったく必要ありませんから、どんなソフトでもいい、それなら無くなる事のない売れ筋のソフトということで選んだのです。
 ところが、です。HOTALLではほとんど悩むこともなく行っていた文書体裁の編集が(右寄せ、中央、左寄せの配置と文字装飾くらいしか編集作業は行いません)、HPビルダー10では全く思うように出来ないことに唖然としました。HOTALLで作ってきたこれまでのページとの違和感を最小限にしようとすると、ソースに直接タグを書き込まなくてはならないという状況なのです。編集効率の悪いことおびただしいのです。
 勿論私のHPビルダー10の操作の習熟度にも因るのでしょうが、マニュアルのどこを見てもわたしのしようとする編集の作業方法は見当たらないのです。・・・という訳で、せっかく購入したHPビルダー10ですが、これで文書を作ることはあきらめ、使える限りこれからもHOTALLを主に使っていくことに決めました。

 さて、我が自由主義的工業化文明は必要以上の利便性を実現して、出来るだけ早く製品を陳腐化する絶え間ざる技術革新によって人間の欲望を掻き立てることによて肥大化を続けています。同時にこれが環境問題の本質的な問題です。環境問題を本気で考えるならば、もうこれ以上の工業的進歩は不要だと銘記することが必要だと考えます。


No.236 (2006/11/02)
ご意見の投稿について

 このHPでは、『公開討論』でテーマ別に閲覧者からのご意見を公開してきました。テーマなしの自由投稿を掲載するスペースは今のところ設けておりません。これは、いわゆる自由投稿という形の投稿がほとんどなかったからです。
 今回、閲覧者の方から投稿原稿を受け取ったのですが、前述した事情からどのように公開するかを検討していたのですが、今のところ今後とも継続して投稿が届くかどうか、全くわかりませんので、もう少し様子を見て結論を下したいと思います。
 今回いただいた投稿を含めて、公開しても良いと判断した投稿につきましては、しばらくはこの『HP管理者から』で公開することにしようと思いますので、ご了承下さい。


日本人の出す年間1,800万トンの残飯と環境破壊対策の矛盾
(やっぱり教育改革が必要では!?)
理学療法士 西沢 滋和
 
 日本国では家庭で出す年間の残飯量が約1,000万トンにも及び、全事業所(主に食品扱い店等)で廃棄している年間食品量が約800万トンで、合計しますと実に世界中で餓死している人達を、約2,000万人救う事が出来る現実をNHK教育テレビで拝見しました。日本人は、この事実を真摯な気持ちになって直視すべきではないのでしょうか。
 このままでは日本民族は堕落し切った感謝や畏敬の念の持てない民族に成り下がってしまうような気がしています。
 また、日本国は世界ではダントツの食糧輸入国だと聞きますから、捨てるために食糧を輸入している、とても間抜けな国であると思わざるを得ません。
 反面、屋上緑化運動でトマトやお芋を収穫して、環境破壊対策を講じている様子を垣間見ますととても矛盾を感じてしまいます。
 何故ならば、食料自給率を著しく下げて、その収穫過程で沸き起こる有り難みが希薄になっているが故に増えると思われる残飯量なのに、環境破壊対策目的の屋上緑化運動で自給まがいの行為を展開しているからです。
 いかがでしょうか、このような観方は?
 毎日食料を口に出来る事が当たり前となってしまった日本に、戦中・戦後に明日の食事に心配した日々やアフリカや北朝鮮等で飢えに苦しんでいる人達の思いを理解する事は、私も含めまして到底無理になってしまったように感じています。
 お百姓さんが汗水流して収穫した食料は尊く、お米1粒でも無駄にしてはもったいないし、それを口に出来る日々を感謝しなくてはお天道様やご先祖様に申し訳ないと常に謙虚な思いや態度を示していた日本人はどこにいってしまったのでしょうか。
 もう1度原点に立ち返って人間とは何ぞや、どうしてこの世に生まれて何を目的に生きているのかを問い質してみてはいかがでしょうか。
 今、教育再生会議なるものが盛んに論議を重ねているようですが、目先の問題に終始せずに前述の疑問にも多少の方向性を示して頂ければと願っています。
 でないと、日本丸のこれからの前途は?


 西沢さんのご意見に概ね賛同です。ただ一つ気になるのは、政府の教育基本法を中心とした教育政策論議の焦点は、あくまでも憲法の平和条項の改悪のための地盤作りとしての教育基本法の改正であることを見ておくことが必要でしょう。


No.235 (2006/10/30)
受験体制が愚かな人間を増やす

 先日来、高等学校の卒業要件に必要な教科の未履修の問題が取り沙汰されていますが、『何を今更・・・』と言うのが正直な感想です。この国の教育は既に完全に崩壊しています。

 この国の初等・中等教育は、本来の教育の意味を失い、ひたすら『最終目標』としての大学受験を突破するための技巧を身につけさせる場に変質しています(国公立大学の独立行政法人化によって、自主・独立の研究機関としての大学の崩壊も目を覆うばかりですが・・・。)。
 一方では、ゆとり教育と言う馬鹿なお題目の下、小学校・中学校教育では論理的な思考を行うために最低必要な基本的な知識を習得する以前に(あるいは教えないまま)、『自主性を育てる』などという大義名分で、お遊びのような総合学習という時間浪費のためだけに存在するような授業が行われています。その影では、この国の国民としての原罪であるアジア周辺国に対して過去に行った植民地政策の過ちを含む近世の歴史や、この国の社会制度に対する教育は全く施されていないのです。
 更に愚かにも、日本語もまともに読み書きできない小学生から、ただ語学はより若い時期から教える方が習得が早いと言う、技巧的な理由で英語教育を必修にするという、正に亡国の教育政策が導入されようとしています。米国傀儡政権の下で宗主国米国を礼賛する国民を生産することが目的なのでしょう。

 こうした愚かな教育政策の甲斐あって、今やこの国の国民の大部分は、米国かぶれで、上から与えられた情報に従うのみで、倫理観を喪失し、自ら考えることの出来ない従順なでくのぼうに成り果てています。

 おそらく、気候シミュレーションに携わる若手の研究者や技術者諸君も、こうした教育政策の犠牲者であるに相違ありません。彼らにとって、本質的な問題を今更議論することなど、全く眼中にない、いやはじめから存在しないのではないでしょうか?
 研究者・技術者としての職業的な倫理観が少しでも残っているのなら、自然科学的になんら実証されていない二酸化炭素地球温暖化仮説に基づく気候予測シミュレーションという高価なコンピューター・ゲームに対して、能天気にここまでのめりこんでしまうとは、私には考えられないのです。


No.234 (2006/10/28)
連載開始『気候シミュレーションとは何か』

 いよいよ本日より、『気候シミュレーションとは何か』本編の連載を開始します。公開の場で気象ないし気候の数値モデルによる予測シミュレーションの『計算結果』ではなく、本質的な科学・技術的な問題点についての議論が専門家自身によって行われるのは、本邦初の出来事であろうと思います。

 これまでは、気候シミュレーションについて、その理論的な背景や信頼性について自然科学的で冷静な評価を行われることは皆無であり、気候シミュレーション結果はまるで『事実』と同等の重みを持って報道され、大衆はこれをそのままに受け入れてきました。
 気候シミュレーションに意味があるのは、最低でも実際の気候を再現できると言う自然科学的・理論的な保証があり、しかも実際に気候現象を再現できることが必要です。理論的には全く不完全だが、ただなんとなく似たような結果が得られたからと言ってそれは単なる偶然でしかないのです。自然科学的・理論的な裏づけのないシミュレーションはコンピューター・ゲームに過ぎません。

 この連載を通して、現在の『気候シミュレーション』が本当の意味で気候現象の模倣を実現しているのか、あるいは研究者の自己満足的な高価なコンピューター・ゲームに過ぎないのかを明らかにしたいと考えています。問題点を明らかにする上で、随時疑問点を連載にフィードバックしていきたいと考えておりますので、疑問点をお寄せ下さい。

註)代表的な気候シミュレーション用の電子計算機である独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の『地球シミュレーター』(NEC製)は、世界有数の演算速度を持つ超巨大電子計算機である。気候シミュレーションという分野は、超巨大電子計算機市場を活性化する起爆剤でもある。現在の地球シミュレーターは、年間の電力使用料金が6億円を超えると言う。更に次期地球シミュレーターは初期費用1000億円を超えるとも言われている。この分野は、既に経済的な利権構造を形成しつつある。




No.233 (2006/10/16)
日本外交の必然的帰結「核保有論」

 自民党の中川昭一がテレビ朝日の番組で「核保有論」に言及したそうです。これは自民党タカ派の一部の突出した意見ではなく、戦後自民党の一貫した主張です。このHPでもこの点については既に何度も触れてきました。

 現在の日本の外交姿勢は基本的に米国服従、あるいは小泉・安倍政権では崇拝とでも呼べそうな全く無批判で盲目的な追従政策です。すなわち、米国的な核兵器・武力による凶暴な力の外交政策をよしとして、これに追従しているのが日本外交です。
 自民党政権は、現日本国憲法の精神を全く形骸化し、自らも米国的に力による外交を実現しようとしているのです。それ故、本気で話し合いによって北朝鮮との緊張関係を解決しようなどと考えていないことは、安倍政権の外交を見れば明らかです。
 力の外交をよしとする、あるいは力の外交を行おうという意味で、米国と北朝鮮、そして日本は完全に同じ立場にあるのです。つまり、本音を言えば自民党政権は核武装したくてうずうずしているのです(そのために、全く合理性のない原子力”平和利用”に固執しているのです。更にこれを合理化するために利用されているのが二酸化炭素地球温暖化脅威論なのです。)。
 ただ、それを実現するための最大の足枷が、言わずと知れた現日本国憲法なのです。この「障壁」を壊すための梃子として、「テロとの戦い」、「拉致問題」と「核実験」を最大限に利用しようとしているのが自民党政権であり、その視線の先には必然的に核武装があるのです。


No.232 (2006/10/16)
NHKと思想統制の時代

 NHKが本質的に受信契約者ではなく、国家体制の側の報道機関であると述べてきました。ますますその本質があらわになろうとしています。特にコメントする必要もないでしょうから、朝日新聞の記事を以下に引用しておきます。


NHKに「拉致」放送の命令検討 総務相
2006年10月13日13時41分

 菅総務相は13日の閣議後の記者会見で、「NHKには命令放送を行わせることができる。内閣が代わって、拉致問題が国の最重要事項になっていることは間違いない。そういうことを含めて検討したい」と述べ、NHKの短波ラジオ国際放送で、拉致問題を重点的に扱うよう命令することを検討する考えを示した。総務相は同放送への命令権限を持つが、個別具体的な項目の扱いを求めるのは異例だ。

 命令放送とは、放送法が国際放送について定めている制度。総務相が事項を指定して放送を命じることができる。実際に対象になっているのは、同制度に基づき制作費の一部に国費が投じられているNHKの短波ラジオ国際放送のみとなっている。これまでの命令は、NHKの自主性を尊重するため、「時事」「国の重要な政策」「国際問題に関する政府の見解」といった大枠にとどめ、具体的な放送内容に口出ししてこなかった。NHKによる独自の編集と命令放送との間に境目もなく、事実上、NHKの裁量権が大きかった。

 菅総務相は、安倍首相を本部長とする「拉致問題対策本部」が設置されたことなどを指摘。「国としての重要事項が変わってきている」として、具体的な命令を出すことも検討する考えを示した。

 拉致関連放送としては、拉致問題を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」が、北朝鮮向けに短波ラジオ放送「しおかぜ」を流している。英放送配信会社に委託して拉致被害者家族のメッセージなどを放送しているが、妨害電波とみられる通信に見舞われており、官房長官だった安倍氏が5月、「(妨害電波は)北朝鮮国内からと認められる」と述べている。

 菅総務相は、「しおかぜが短波放送を欲しいということであれば、ITU(国際電気通信連合)に正式に申し入れたい。NHKの施設を使えるよう前向きに考えたい」と支援を表明。国際放送のための新たな周波数の割り当てに向けて国際機関に働きかけるほか、NHKの送信所を活用するなどの支援策に乗り出す考えも示した。

 NHK広報局は取材に対し「NHKに正式な話が来ているわけでもなく、今の段階でお答えすることはとくにありません」と述べている。


 国は、二酸化炭素地球温暖化仮説の問題において、自然科学に対して権力的な介入を始め、今回はNHKをかつての大本営発表さながらに国家に従属する宣伝装置・洗脳装置にすることを露骨に検討し始めているのです。
 日本の思想状況は既に戦前に戻りつつあります。更に悪いことに、大多数の国民の思考はほとんど社会性を失い、この危うい状況に全く反応しなくなっています。


No.231 (2006/10/14)
北朝鮮の核実験の意味

 北朝鮮が核実験を行ったと『発表』しました。現時点の情報を総合すると、本当に核実験だったかどうか、かなり怪しいのではないかと考えています。まあそれは置いておきましょう。

 北朝鮮が核実験をした(あるいはこのような発表を行った)ことは誠に愚かで非難すべきことですが、ことの善悪を別にすると、その行動はよく理解できます。
 現在の国際情勢はどのような奇麗事、美辞麗句で飾り立てようと実質的には、米国を中心とした核兵器保有を含む軍事力と工業的な経済力による『力』こそ正義なのです。現に、米国はこの数年間で事実無根の容疑で、主権国家を劣化ウラン弾という核兵器を含む武力による殺戮と破壊によって二つも抹殺したにもかかわらず、何の制裁も受けないのです(そして、この凶暴な世界戦略にほとんど世界で唯一、全く無批判に追従しているのが前小泉政権であり、その外交姿勢を継承し、更に積極的に強硬姿勢を示そうとする安倍政権なのです。)。

 こうした国際情勢下で、自国の発言力に重みを持たせるために核兵器を保有している、ないしは保有していると思わせるという今回の北朝鮮の行動はその文脈において『合理的』であり『理解できる』ものです。

 風前の灯とはいえ、国際紛争の解決手段として武力行使を放棄するとしている現憲法下において、世界でもっとも凶暴な米国ともっとも親密な軍事同盟関係を持つ日本は、明らかに矛盾した存在です。原則論を言えば、まず日本のとるべき行動は現有核兵器保有国に対する核兵器廃棄の要求を行うことであり、軍事力偏重の国際関係のあり方を是正することに努力することです。この件は既に繰り返し述べてきましたので、ここではこれ以上触れません。

 今回の北朝鮮に対する対応としては、如何に日本国土と国民の安全を確保するかと言う視点からの外交を行うのが政府の責任であり、面子のために国土と国民に危険を及ぼす可能性のある現在の対応はあまりにも無責任だと考えます。いくら刺激しても自国の領土を直接攻撃される可能性のほとんどない米国のお先棒を担いで、同様あるいはそれ以上の制裁措置を口にする日本外交は血迷ったとしか思えません。
 むしろ中国や韓国と協力して、核実験に対しては断固抗議すると同時に、北朝鮮を経済的・軍事的にこれ以上追い詰めるような行動はつつしみ、あらゆる譲歩をしても北朝鮮を話し合いの席に引き戻すことが重要だと考えます。

 しかし穿った見方をすれば安倍政権の外交政策は、ここで更に北朝鮮を挑発して、改憲への弾みをつけ、日本の再軍備化・核兵器保有を加速しようという狙いがあるのではないかと考えます。


No.230 (2006/10/06)
NHKが来た!!

 このHPで再三にわたって日本放送協会NHKに対する批判を続けてきた。当然私はNHKに対して受信契約もしていないし、受信料など払う気は無い。NHKが受信料未納者や未契約者に対して法的処置を検討するという新聞報道を今朝読んだ。早いもので、本日午後には私の家にも集金人が訪問してきた。
 予ねて用意していた文章と、拙著『温暖化は憂うべきことだろうか』を1冊進呈して今日のところはお引取り願った。今後とも訪ねてくるだろうから、その都度ご報告することにしよう。


NHK放送受信契約および受信料支払い拒否の申告


1.はじめに

 NHKの放送内容は、社会的・科学的に公正な立場、あるいは視聴者にとって有意義な情報を提供することによってはじめて公共放送としての役割が果たせるものである。
しかしながら現実には、その放送内容は国家権力ないし体制に都合の良い情報に偏向しており、視聴者ではなく国家権力ないし体制のための放送となっている。
それだけでなく、放送に対する意見をホームページ等を介して問題提起しても、まったくこれを省みることを怠っている。

以上の理由から、NHK放送受信契約および受信料の支払いを拒否する。

尚、蛇足ではあるが、NHK職員個人の不正などというのは瑣末な問題である。


2.具体的な事由

(1) 偏向した姿勢

《資料1》
平成13年11月22日付けの(財)日本原子力文化振興財団の役員名簿に日本放送協会編成局担当局長 二宮知道 が就任したことが記載されていた。
原子力事業については民意が分かれているにもかかわらず、原子力事業を振興する立場からの宣伝を行う組織の役員に現職の局長が就任するなど言語道断である。
この件について問い合わせると同時に説明を要求したが、NHKは一切これを無視した。私には一切釈明を行わなかったにもかかわらず、その後一月も経たぬうちにどういうわけか(財)日本原子力文化振興財団の役員名簿から日本放送協会編成局担当局長 二宮知道 の名前が消えた。
この一連のNHKの行動は、単に偏向しているだけでなく、不誠実な体質を如実に示すものである。

No.033 (2002/05/09)拝啓、(財)原文振さま
No.047 (2002/08/14)拝啓、NHKさま

(2) 非科学的な偏向した科学報道

 《資料2》
 NHKの環境問題、特に地球温暖化問題に関する報道やNHKスペシャルなどの科学番組の内容は、自らの検証を怠った誠に非科学的な内容が目立つ。
 この件に関しても数回NHKに対して問題提起し説明を求めたが、一切無視され続けている。NHKの態度は、非科学的であるばかりでなく、不誠実である。

No.002 (2001/02/06)NHKスペシャル 「エネルギーシフト」 を見てみよう!
No.044 (2002/07/17)NHKスペシャル、再考
No.199 (2006/03/10)NHKスペシャル『気候大異変』
No.209 (2006/07/04)NHK=巨大洗脳装置を告発する

註)資料は、私の管理しているホームページ「環境問題を考える」http://env01.cool.ne.jp掲載のレポートである。

3.結論

 以上に示した具体的な事実から、NHKは公共放送の名に値しないものであり、NHK放送受信契約および受信料の支払いを拒否するものである。




No.229 (2006/10/04)
気候シミュレーションとは何か

 私自身が数値解析に関わっていたのはもう20年以上も前のことになります。最初に関わったのは大学の卒業論文のためのに行った層流中に置かれた傾斜平板周りの流れのシミュレーションでした。極めて単純なモデルですが、当時はこんなモデルでも数値的にシミュレートするのは大変なことであり、ついにまともな結果は得られませんでした。
 その後、大学院では幾何学的な非線形性を有する鋼構造物の数値シミュレーションに関わりました。同期の友人は開水路における物質拡散の3次元シミュレーションに携わっていましたが、あまりうまく行っていなかったように記憶しています。その後も土木構造物の解析・設計に関わってきました。
 これらの数値モデルは、極めて限定的な空間的スケールの現象であり、しかも対象とする現象自体非常に限られた条件下のものに過ぎませんでした。それでも実際の現象を再現することは簡単なことではありませんでした。

 勿論、気候シミュレーションには直接関わったことはありませんが、私自身の関わったあるいは知っている経験から考えて、極めて多様な物理現象に関わり、繊細であるばかりでなく動的に変貌する地球の大気運動を、しかも地球規模という途方も無いスケールでモデル化し、全体として整合性を持つ有意義な結果を得るなど数値計算屋の常識的な感覚からはあり得ないことだと考えています。
 そんな訳で、気候シミュレーションなど端から信頼していませんから、この問題にははっきり言って個人的にはあまり興味はありません。

 しかし、世の中には二酸化炭素地球温暖化脅威説がはびこり、国の政策にまで影響を与えています。その理論的な背景にある二酸化炭素地球温暖化仮説は、実証科学としては既に『CO2地球温暖化説は科学ではない』でも触れたとおり完全に否定されています。それにもかかわらず二酸化炭素地球温暖化仮説が今なお生きながらえているのは、気候シミュレーションの結果がこれを支持しているからに過ぎないのです。
 これは実証的な科学よりも数値シミュレーションの結果を重要視するという、自然科学的な物理現象の認識過程を否定するとんでもない出来事です。これを放置しておくことは出来ません。

 『大気寛容なれども』の訳者であり、地球シミュレーター用の気候モデル開発(次世代海洋大循環モデル開発研究)の初代責任者であった沖縄高専の中本正一朗先生にご協力いただき、気候シミュレーションとは一体何なのかを考えてみようと計画しています。ご期待ください。

■『大気寛容なれども』の配本が再開されました。興味のある方は次の要領でお申し込みください。

大気寛容なれども
- 環境変化の理解に向けて -

この本は原題を"The Forgiving Air(寛容なる大気)"といい、オゾンホール・地球温暖化・気候変動・大気汚染と酸性雨などの地球環境問題について、なぜこうした問題が発生したのか、それに対してどのような対策が取られてきたのか、また、今後どのような対策が必要であるのかについて、学生をはじめとする初心者にも理解しやすく解説されています。

GECでは、この優れた内容を日本においても多くの方に知っていただくため、翻訳・発行し無料配布しています。ご希望の方は、返信用切手290円分を同封の上、[〒538-0036 大阪市鶴見区緑地公園2番110号 GEC総務課  大気寛容係]まで郵便でお申込みください(電話・FAXでの申込みは不可)。

著者:リチャード・C.J.サマービル
共訳:齋藤行正・中本正一朗
発行:(財)地球環境センター
発行月:2001年3月発行
B5変形・326ページ

※『大気寛容なれども』の読み方について
 中本先生から同書とともに頂きました私信の関連部分を以下に紹介しますので参考にしてください。

(前略)
この本は私が親しくしていたSomervilleから私がいただいた本を翻訳したものです。Somervilleはこの本の内容をカリフォルニアの学校の先生方に講演したとのことです。

人為起源の温室効果ガスによる地球温暖化や海面上昇については私はSomervilleの見解には賛成いたしませんが、実際に気象学や気候学のモデルがどういうものかを知っている人Somervilleが書いた本であるということが重要だと思っています。

Somervilleが書いたこの本は(例のSteven Schneiderも取った)アメリカ気象学会のルイスバタン賞を取ったそうです。したがってSomervilleのこの本の言説がアメリカの気象学者の一般的な見解に近いとみなすことが出来るのではないかと考えています。
(中略)
私が下訳を担当した第4章では気候モデルがどんなものか、気候モデルが人間の作るものだから信頼できるものではないということをSomervilleが強調していることが伝わるように訳しました。

実際にモデルを扱っている人の本音、つまり「モデルはおもちゃのプラモデルと同じだということ」が本には書いてあると思います。
(後略)
気候シミュレーションとは何か/沖縄高専中本正一朗



No.228 (2006/09/25)
安倍『美しい日本』の戦慄

 明日には安倍政権が出現することになります。彼は明治から太平洋戦争敗戦以前の日本の体制が標榜してきた東アジアにおいて覇権を確立するという野望を是とする思想的な流れの中にいるようです(この思想の実現のために殉死した軍人たちを英霊として祀るのが国家神道としての靖国神社です。)。彼が太平洋戦争敗戦の経験から学習したのは、東アジア諸国に対する植民地政策の誤りを反省すことではなく、超大国米国を敵としたことの誤りであり、今度は米国の威を借りて野望を果たそうとしているようです。
 彼は、総裁選の公約の第一に改憲を掲げ、同時に『美しい日本』を目指すとしています。
 彼の言う美しい日本とは、戦前回帰の滅私報国なのでしょう。改憲を射程に入れながら、まず手始めに教育基本法の改悪を目論んでいるのは周知の通りです。その主目的は、愛国心を明記することです。ここに言う愛国心とは言いかえれば国家体制に対する忠誠心を指すことは言うまでもありません。彼は義務教育を再び若者を戦場に駆り立てる装置に変えようとしています。


民主教育をすすめる大分県民会議のビラ

 更に共謀罪によって、国家体制に対する批判的な言論の封じ込めが画策されています。
 今回、環境省が御用学者を動員して、本来は自然科学の学問的な論争として行うべき二酸化炭素地球温暖化仮説の検討に、国家権力による介入を行おうとしているのは思想統制であり、正に異常事態です。

 体制は着実に戦前回帰の息苦しい世の中を出現させようとしています。しかし、正に平和ボケした大衆や新聞・報道機関はヘッドフォンで耳をふさぎ、ケータイやゲームで個の中に埋没している結果、この異常事態にほとんど無関心なのです。思考停止状態に陥った物言わぬ大衆は一体いつになれば目覚めるのでしょうか・・・。